工場で働いてみて、派遣社員が多い職場に驚く方も多いのではないでしょうか。
実際に、製造業での派遣労働者の割合が増加しています。要因は「企業」「派遣労働者」のそれぞれにあり、深く知ることで実態が見えてきます。
そこで今回は、企業と労働者それぞれの視点から工場になぜ派遣が多いのか詳しく解説していきます。それでは、ご覧ください。
【本記事で知れること】
製造業の派遣労働者の割合は7.8%
厚生労働省調べによると、日本の製造業における派遣労働者の割合は約7.8%となっています。
この数字だけ見ると「意外と少ないじゃん」と思うかもしれません。ただし、産業全体の平均は4.0%なので、製造業は平均より倍近くの派遣労働者がいます。
さらに、サービス業(他に分類されないもの)11.5%、情報通信業9.5%に次ぐ第3位です。また、企業が派遣労働者と契約している割合は製造業23.6%でトップとなっています。
工場の現場が派遣を多く雇用する理由
製造業では、需要変動や人手不足に対応するため、派遣社員の活用が進んでいます。派遣は短期間で即戦力を確保でき、労働コストの調整にも優れた手段として重宝されています。
現場が派遣を多く雇用する理由について、まとめてみました。
- 製造業は慢性的な人材不足
- 単純作業が多い
- 正規雇用のリスクを減らせる
それでは、見ていきましょう。
製造業は慢性的な人材不足
製造業では、人手不足が深刻な問題となっています。なぜなら、正社員だけでは全ての業務をまかなえない状況が続いているからです。
事実、軽作業から専門技術が必要な仕事まで、幅広い分野で人材不足が目立っています。要因としては、少子高齢化により若い労働力が減少していることが大きいでしょう。
特に、近年はITや医療・福祉に日本が力を入れていることで、若者は就業先に製造業を選んでいません。
高卒の就職先では製造業がトップであるものの、大卒が当たり前の今の時代では減少をたどる一方です。
そのため、すぐに現場で活躍できる派遣社員が求められるようになり、即戦力としての人材確保に大きな役割を果たしています。
単純作業が多い
製造業の現場は、特別な資格や高度なスキルを必要としない単純作業が多いです。これら単純作業は、正社員として雇用するほどの専門性が必要なく、派遣社員が適任とされています。
代表的なのは、ライン作業や製品の検品、梱包・仕分けなど指示に従って作業を進める業務ですね。経験の浅い派遣社員でも短期間で覚えられ、スムーズに現場に適応しやすいです。
結果、人の入れ替わりが激しくても、派遣社員を利用した方が工場にとって効率が良いのでしょう。
正規雇用のリスクを減らせる
そもそも、正規社員は長期的な人件費がかかる上に、簡単に解雇できません。加えて、製造業は景気の動向や受注量に応じて生産量が大きく変動します。
そのため、正規雇用を増やすと人員が過剰になるリスクが生じてしまうんです。
これらリスクを回避するため、多くの企業では必要な時だけ雇用できる派遣社員を活用し、柔軟な人員調整を図っています。
仮に派遣会社に一時的な高額の支払いをしても、長期的な経営上のリスクが抑えられ、繁忙期や閑散期に応じて生産体制の調整も容易です。
この柔軟性が、企業にとって安定した事業運営を実現するための重要な手段となっています。
逆に考えれば、派遣労働者は派遣切りの可能性があるってことです。
労働者が工場派遣を選ぶ理由
工場派遣は、多様な働き方や条件に応じて選べるため、働く側にも多くのメリットがある選択肢です。特に未経験でも働きやすく、自由な働き方ができる点が人気の理由となっています。
労働者が工場派遣を選ぶ7つの理由は、以下の通りです。
- 未経験から働ける
- 働く時間と勤務期間を自由に選べる
- 稼ぎやすい
- 社会保険に加入できる
- 勤務地を選べる
- 就業開始までが早い
- 就職活動の繋ぎに利用しやすい
それぞれについて、詳しく解説していきます。
未経験から働ける
工場派遣は、未経験から働き始められる仕事が多いです。特別なスキルや経験がなくても採用されやすく、職歴や学歴も重要視されません。
主な理由は、基本的な指示に従えば短期間で覚えられる業務がほとんどだからでしょう。初めての仕事でもスムーズに始められる環境が整っています。
また、未経験者向けの研修を実施する企業も多いため、安心してチャレンジできるのも魅力の1つです。
新しいキャリアをスタートしたい方や、幅広い職場経験を積みたい方にとって、工場派遣は最適な選択肢といえます。
働く時間と勤務期間を自由に選べる
工場派遣の魅力としてあるのが、働く時間や勤務期間を自分のライフスタイルに合わせて選べる点です。
短期や長期の仕事、日勤や夜勤などさまざまなシフトから希望に応じて選べるため、家事や育児と両立しやすい環境が整っています。
また、特定の期間だけ働きたい人や自分のペースで働きたい人、資格取得の学習にプライベートを充てたい人にとっても工場派遣はぴったりの働き方です。
安定した収入と勤務時間を両立するのは難しいので、工場派遣が人気になるのがわかりますね。
稼ぎやすい
工場派遣の仕事は、高めの時給が設定されていることが多いです。加えて、夜勤や交代制の仕事では深夜手当や休日手当が加算されるので、短期間で収入を増やしやすい環境が整っています。
実際に、工場派遣を利用する人のほとんどが「稼げるから」のようです。なかには数十万円の祝い金付きの仕事もあるので、短期間で大きく稼ぐことだってできます。
安定した収入を求める方や、短期集中でしっかり稼ぎたい方にとって、工場派遣は魅力的な選択肢なのでしょう。
工場派遣の時給相場
求人ボックスによる各業種の平均時給を表にまとめました。
業種・職種 | 派遣平均時給 | パート平均時給 |
---|---|---|
ライン作業 | 1,346円 | 1,095円 |
軽作業 | 1,288円 | 1,078円 |
一般事務 | 1,276円 | 1,094円 |
営業 | 1,318円 | 1,148円 |
データ入力 | 1,370円 | 1,100円 |
経験者が優遇されやすく、一定以上のスキルを必要とする事務や営業より高めなっています。
高時給の仕事だと1,500円以上はザラなので、稼ぎやすさでいえば高いレベルにあるといえるでしょう。
社会保険に加入できる
工場派遣は、一定の条件を満たすと社会保険に加入できます。一般的な加入条件は「週または月の所定労働時間が一般従業員の3/4以上」なので、ほぼ確実に加入できると考えてよいでしょう。
派遣であっても健康保険や厚生年金、雇用保険などに加入できるのは大きな魅力です。
長期的に働きたい人や安定した生活を望む人は、工場派遣を選択肢の1つに入れてみるのもアリですね。
勤務地を選べる
工場派遣の魅力の1つに、勤務地を選べることがあります。全国に多くの求人があるため、通勤の利便性を重視して自宅から近い場所を選ぶことも、希望するエリアで働くことも可能です。
さらに、遠方での勤務を希望する場合には寮完備の求人もあります。1人暮らしや家族寮、カップル寮などがあるので、引っ越しや住み込みで働くことも視野に入れられますね。
就業開始までが早い
工場派遣の仕事は、募集から就業開始までの期間が短いことが強みとしてあります。急ぎ収入を確保したい人にとっては、大きな魅力ですね。
基本的には、面接や登録が完了すれば数日以内に現場での勤務をスタートでき、翌月にはまとまった給料が確保できます。
採用ハードルの低さと相性がよいので、工場派遣は人気になっているのでしょう。
転職活動の繋ぎに利用しやすい
工場派遣は、短期間での勤務が可能です。加えて、定時の仕事も多く、プライベートの時間を十分に作れます。
そのため、転職活動の合間や次のキャリアへの準備期間として活用しやすい働き方といえるでしょう。
また、転職中に長期間のブランクができることを避けたい方や、次の仕事が決まるまでの生活費を確保したい方にとってもメリットが大きいです。
私も転職活動に工場派遣を利用した1人です。自宅学習をして、今ではフリーランスで日本の平均年収程度は稼げるようになりました。
まとめ
製造業が派遣社員を多く採用する理由には、業界特有の人手不足や変動の激しい需要が要因ということがわかりました。
このような厳しい状況に対応するため、企業は短期的な人材調整ができる派遣社員の柔軟な雇用を重視しています。
結論、双方にメリットがあるってことですね。職に不安がある人でも採用されるのが工場派遣です。
本サイトでは、体験談を踏まえた工場派遣のリアルを紹介しているので、ぜひ他の記事にも目を通してみてください。
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