工場派遣のお仕事を探していると、よく入社祝い金って書いてありますよね?会社によって金額は違いますが、1ヶ月の月給くらいの祝い金が出る会社もあったりします。
でも、このお金って一体どこから出ているのか、違法じゃないのか気になる方もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、工場派遣の祝い金のカラクリや合法性についてご説明します。ぜひ参考にして下さい。
【本記事で知れること】
工場派遣の祝い金とは
工場派遣の祝い金は、入社祝い金とも呼ばれる特別手当です。会社が人材を確保するために、前もって金額を提示する手当になります。
もらえる金額はさまざまで、一般的には数万円~数十万円が相場です。しかし、大手のメーカー工場なんかは100万円を超えるケースもあります。
「祝い金があるのって工場派遣だけなの?」と考えるかもしれませんが、入社祝い金自体はどの職種でも珍しいものではありません。
人手不足の業界や企業はより早く人材がほしいので、求職者から応募を多く集めるために積極的に祝い金制度を活用しています。
祝い金は求人ごとで条件が異なる
工場派遣の祝い金は、求人ごとに設定されています。例えば、以下のようなイメージ。
- 工場A…祝い金総額5万円で最初の給料日に全額支給
- 工場B…祝い金総額20万円で入社5日後に3万円・1ヶ月目に5万円・3ヶ月目に12万円
- 工場C…祝い金なし
条件と金額が違うのは見ての通りですが、なかには派遣会社に登録で無条件にもらえると勘違いする人がいます。
仮に日総工産に登録したとしても、祝い金ありの求人に募集しない限りは支給されません。
同じ求人でも祝い金の額が違うケースがある
工場のほとんどは、複数の派遣会社と契約を結んでいます。要するに、同じ工場で日総工産とランスタッドと日研のスタッフが働いていたりするよってことです。
そして、同じ求人でも派遣会社で祝い金の額が異なり「A社は8万円なのにB社は10万円だった」というケースも少なくありません。
ただここで注意してほしいのが、祝い金の額だけで選ぶと失敗しやすいです。派遣会社によってサポート体制や福利厚生が違うので、長く働くほど満足・不満の差が出てきます。
祝い金はあくまで特典に過ぎないことを踏まえ、自分に合った派遣会社選びを重要視しましょう。
派遣会社の祝い金は違法ではない
違法性が問われる祝い金ですが、派遣会社の祝い金に違法性はありません。
祝い金が禁止されているのは、職業紹介事業の話です。職業紹介事業とは、ハローワークや転職エージェント、求人サイトなどを指します。
以下は、2021年4月1日に一部改正された職業安定法に基づく指針の抜粋です。
「お祝い金」その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供することで求職の申し込みの勧奨を行ってはいけません。
引用:厚生労働省|「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました
禁止となった背景には、以下のような理由があります。
- 「祝い金がもらえる」と持ち掛け、繰り返し紹介手数料を受け取る悪質なサービスの増加
- 祝い金目的で入社した求職者の離職率が高い
- 祝い金の高値競争による求人の質の低下
要するに、祝い金によって「求人の質の低下」と「離職率が高まる」ことにより、禁止されたということです。
同じ求人なら、祝い金が高い職業紹介サービスを利用するのは必然ですからね。単なる高値競争になって雇用・離職の繰り返しでは、企業の負担が大きくなってしまいます。
それではなぜ派遣会社の祝い金はOKなのか。考えられる理由は、自社採用で祝い金の出どころが派遣会社になるためです。
仮に企業負担があっても、最終的に支払うのは派遣会社になります。加えて、雇用者の責任を負うのも派遣会社です。
そのため、派遣会社の祝い金は合法であり、堂々と貰うことが可能です。
しかし「非正規雇用を希望する人の増加」「派遣社員の質の低下」が問題視された場合は、いずれ禁止されるかもしれません。
期間工の祝い金も合法
現段階では、期間工の祝い金も合法です。なぜなら、企業が直接支給する入社特典だからです。
禁止されているのは、あくまで職業紹介サービスが支払う祝い金になります。期間工は工場に直接雇用なので、派遣サービスと同様違法性がありません。
製造業の人手不足は顕著なので、自社責任の期間工は派遣より祝い金制度の規制がかかる可能性は低いと予測します。
工場派遣の入社祝い金はいつもらえるのか
入社祝い金が出る会社に採用された場合、いつもらえるのか気になりますよね。受け取れるタイミングは、主に以下の3つです。
- 採用時
- 定められた期間継続勤務
- 退社時
入社祝い金が出るタイミングは会社や金額によって大きく変わってきます。分割になることもあったり、一括で受け取ることができたりと、条件によってさまざまです。
下記で詳しく解説していきます。
採用時
10万円以下の額だと、採用後すぐ入社祝い金が支給されるケースが多いです。しかし、残念ながら入社当日にもらえる派遣会社はほぼありません。
一般的には、最初の給料に加算されることが多いですね。または、入社後5日勤務で2~5割程度を翌日支給、残りは給料日に支給など。
働いてすぐ全額支給すると、どうしてもバックレの可能性が出てきます。すぐに辞められたら、派遣会社にとってリスクでしかありません。
基本は1ヶ月程度は待たなければならないと考えておきましょう。
生活費に余裕がない人は、前借りができる派遣会社もありますよ。
定められた期間継続勤務
入社祝い金が高額な場合、在籍期間に応じて分割になることがほとんどです。
例えば「1ヶ月ごと」「3ヶ月ごと」「会社指定で3ヵ月後・7か月後・1年後に分割」といった感じですね。
さらに、分割される金額もさまざまで、毎回同じ割合支給される仕事があれば、2割・3割・5割など会社指定の割合で支払うケースもあります。
派遣会社と勤務する工場で条件が異なるので、詳細は応募時に尋ねてみてください。
退社時
入社祝い金と呼ばれていることからもわかるように、退社時に支給されるケースはほとんどありません。
しかし、会社の支給時期によっては退社時と支給が重なる可能性もあります。
退社時が近づいても、入社祝い金を受け取っていない場合は、一度会社に確認したほうが良いでしょう。
期間工は満了金という名目で退社時に支給されるケースがありますが、派遣の祝い金は基本的に在職中に支給されます。
工場派遣の祝い金のカラクリ
結論からいうと、工場派遣の祝い金に怪しいカラクリはありません。至って単純な仕組みで成り立っています。
まず前提として、支給元は派遣会社です。給料や社会保険もそうですが、雇用主である派遣会社で加入・支給されます。
勤務する工場は派遣会社が派遣契約を結ぶ派遣先にすぎないので、働く以外支給されるものはありません。(作業服貸与などは例外)
続いて、祝い金の出どころを見ていきましょう。
- 勤務する工場が派遣会社に支給
- 派遣会社が自社負担
どちらにしても、派遣会社が採算を取れる形で祝い金を設定しています。完全自社負担なら、派遣社員が働くことで発生する派遣会社の受け取り分から出費するといった形です。
そして、目的は会社が採用コストをかけてでも人材を必要としているから。
そのため「祝い金で釣りたい」とか「イチャモンつけて減額してやろう」なんて考えていません。
高額な入社祝い金を支払っても十分利益が出るような仕組みになっているし、単純に経営のために人手がほしいだけです。
もしもらえない不安がある場合は、知名度ある大手を利用するのが確実です。
2社3工場に勤めましたが、全て満額もらえました。
入社祝い金をもらってすぐ辞める際の注意点
前提として、やむを得ない事情があって辞める場合は原則問題ありません。重度な契約違反をしていない限りはすぐに辞められます。
しかし「祝い金を受け取ったら計画的に辞めてやろう」と考えている人は要注意です。
最悪のケースでは、祝い金以上の損失が生まれるかもしれません。以下のリスクを踏まえ、今一度どうするか考えてください。
バックレは返還を求められる可能性が高い
入社祝い金を受け取ってすぐに会社を辞めるいわゆる「バックレ」。
契約内容と支給要件にもよりますが、一定の期間内に退社した場合、入社祝い金に対して返還を求められることがあります。
さらに、会社から支給された備品や貸与品なども返却しなければなりません。音信不通の状態だと交渉ができないため、派遣会社の査定で天引き額が決定します。
また、連絡が取れないことで親や家族へ連絡がいき、工場や派遣会社含む多くの人に迷惑をかけてしまいます。
会社に入社したからにはバックレはやめましょう。
偽りの理由がバレたら訴訟されるケースがある
入社祝い金を受け取った後に退社する理由が、嘘偽りであった場合はどうでしょうか?
結論、会社側からしてみれば、バックレとあまり変わりません。
もし嘘がばれた場合、虚偽申告にもなります。会社にもよりますが、訴訟問題になってもおかしくありません。
入社祝い金を受け取った後にすぐ会社を辞めざるを得なくなった場合は、正直に会社の担当者に相談することが大切です。
極端な話「工場が合わない」でも辞める正当な理由です。家族の不幸や体調不良など調べたらわかる嘘はやめておきましょう。
入社祝い金がもらえなかった声の真実
口コミサイトやGoogleレビューを見ると「入社祝い金がもらえなかった」「減額された」といった声がありますよね?
時には「詐欺会社」なんてことを書き込む人もいますが、大手であるほど支給していない明確な理由があります。
主な理由は、以下の通りです。
- 欠勤や遅刻・早退が多いと減額される
- 勤務態度が悪いと減額の対象になる
- 分割だけど一括と勘違い
- 支給日の勘違い
それぞれ目を通しておきましょう。
私の周りにも減額された人がいました。体験談も交えていきます。
欠勤や遅刻・早退が多いと減額される
ほとんどの派遣会社が、欠勤・遅刻・早退を減額の対象としています。
詳細は雇用契約書などに記載されていますが、自己都合の場合は減額されると考えておいた方がよいでしょう。
勤怠が良いのは前提条件といえます。
10万円から8割減の2万円支給の人がいた
大手メーカーに勤務していた頃、週に1~2回程度遅刻や欠勤を繰り返す人がいました。
本人に悪気は全くなく何事もなかったように仕事をしていましたが、結果8割の減額をされています。
私たちからすると「まあ当然よね」「仕方ない」といった感じです。しかし、本人は不満の感情を抱き「いや、詐欺やろ」「違法だから訴える」と言っていました。
口コミを見ると「こんな人たちが悪い声書くんだろうな」っていつも思っています。
勤務態度が悪いと減額の対象になる
勤務態度の悪さも、減額の対象です。しかし、勤務態度に関しては査定が難しいのが実際のところでしょう。
一般的には、以下に該当すると減額の対象となりやすいです。
- 業務命令違反
- 著しい協調性不足
- ルール違反
人付き合いが苦手だったり、仕事の覚えが遅かったりは問題ありません。そのため、普通に仕事をしていればOKってことですね。
過度に心配せず日々の業務に向き合いましょう。
ルール違反と業務命令違反で減額
勤務態度に関しては、私の周りでも2人減額されました。
まず1人目が隠れタバコ。休憩時間外にもかかわらず、喫煙所以外の場所で隠れてタバコを吸っていました。
私が知る限りでも、3~4回は指導を受けていますね。結果、祝い金を減額されただけでなく、最終的に派遣切りに遭っています。
そして2人目が作業中の持ち場離れ。いつも眠たそうな人で、無断で持ち場を離れて隠れて居眠りをしていたそうです。
さらに、サボり過多になって、いつも同僚・正社員が残業しつつカバーをしてくれていました。
もちろん減額はされたんですが、彼の場合は「自分が悪い」と理解していました。工場が合わないとの理由で、半年程度で自己都合退社をしています。
分割だけど一括と勘違い
祝い金が分割だったにもかかわらず、一括と勘違いをしてしまうケースもよくあります。基本的には応募時に派遣会社から説明があるので、聞き漏れか説明忘れが理由でしょう。
仕事が決まった後は、念のために雇用契約書を確認しておいてください。
支給日の勘違い
支給日を勘違いする人もいます。基本的には給料と併せて支給されますが、なかには別日に祝い金のみ支給されるケースもあります。
支給日に関しても、派遣会社から説明があるか雇用契約書に明記されているので、事前にチェックしておきましょう。
無頓着すぎて支給されたことに気付かなかった私
実は、給料日と別日に祝い金が支給されていたことに気付かなかったことがありました。
3工場目に祝い金があるのは知ってたんですが、少額だったこともあって全く気に留めてなかったことが大きな要因です。
結果ラッキーみたいな感じで終わったんですけど、最悪支給漏れの可能性があります。私のようにならないよう、支給日は確認しておいてください。
派遣会社のミス
数としては少ないですが、派遣会社のミスで支給されていないケースがあるようです。
- 雇用契約書の入社祝い金支給日を間違えていた
- 派遣会社が振込漏れをしていた
- 入金自体を忘れられていた
私の周りでは、派遣会社のミスで支給漏れだったケースがありません。
期間工ブログを書いているだつ帽さんが実際に体験しているようなので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:工場と副業と資格|【派遣担当の凡ミス】入社祝い金が支給予定日に振り込まれない体験談や支給規定を解説
まとめ
今回は、工場派遣の入社祝い金について説明しました。
現段階では派遣の入社祝い金に違法性はないので、安心して受け取ることが可能です。
しかし、非正規雇用を希望する人が増加していることから、職業紹介事業と同様いずれは禁止になるかもしれません。
お得な入社祝い金制度を活用しつつ、あなたに合った求人を見つけていきましょう。
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